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地震発生時

5時に起床して、原稿を書き出す。
午前8時過ぎに、家人が出勤していく。
午前中に何とか仕上げて、書店へ行く。
小さなコラムを書いた『別冊宝島』を買うためで、
義母が4冊必要だという。
おれの知り合いにも贈りたいので、5冊買う。
100円SHOPでバインダーなどを購入し、
カフェで珈琲を飲み、午後2時に帰宅した。
そして贈呈する本に付ける手紙を書き始めた。
港区の福田氏という、父と交流のあった方で、
おれは何度か世話になっていた。
永らくご無沙汰している非礼を詫びる一文を書き出した。
直接便箋に手書きするのと、結構間違うので、
一度パソコンに打ち込んで、それを手書きしようと考えた。
それでキーボードを叩き始めた。

背後の窓枠が「ガタン」と音を立てた(他のところも音がした気がする)。
いわゆる「軋み」のような感じだったので、
時々あることだと気に留めなかった。
すると急に、眩暈のような症状になった。
「あれ?」
自分がとうとうこういう眩暈に襲われることにショックを受けた。
左右に揺れるのだ。
これは何か悪い報せではないか、
身体的な問題ではないか、
遂に脳に関する問題が起きたのではないか、
そんな風に思った。

屋外、ベランダ下の道路から声がする。
数人の男達が「あぶない」といったようなことを叫んでいる。
ふらふらしながら居間の窓辺にいき、カーテンを開けて外を見た。
サラリーマンたちが中空を眺めていた。同じ方向で。
その向こうには40階建ての高層マンションがあるのは分かっていた。
「どうしたんだろう?」
おれはまだこの時点で、地震が発生したことが分からなかった。
道路の男達が散り始めた。
「こわかった」
という女性の声が聞こえてきた。
その時、おれはようやく気がついたのだった。
「地震だ」
すぐにTVをつけると、よみうりテレビの「ミヤネ屋」が流れ、
司会者の宮根氏がドタバタとした感じで、東京のスタジオとやりとりしていた。
「地震が」
という言葉が何度も繰り返された。
そのうちTVは、東京のスタジオに切り替わった。
そこから各局一斉に、この地震情報を流し始めたのである。

ちょうどその頃、早いところでは津波が町に押し寄せてきていたんだ。

地震発生時のおれの記録である。
by kazeyashiki | 2011-03-11 17:30 | 暮らし | Comments(0)

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by 上野卓彦