散髪屋    

いつも行く散髪屋、理容室が先月末で閉店してしまった。
大阪市内に引っ越してきたからずっとだったから、
十年以上、正確には11年もの間、髪を切ってくれた店だ。
店は大阪市内にあるチェーン店の名前を冠していたが、
聞けば、フランチャイズではなく独立した店舗だという。
店主はおれと同年配、
出身地が同じ大阪・箕面ということで、話が合った。

だがおれは決して上客ではない。
長いときでは2ヶ月、3ヶ月に一度に訪れる気まぐれ客だ。
一度、東京滞在が長いときに彼の地の理容室でカットしたことがあった。
初めての店だしこちらの説明下手もあって、
座り心地ならぬ頭髪心地がよくなかった気がする。
そして東京で散髪してから2ヶ月後に出かけたいつもの店、
座ってすぐに「この前はどこで散髪されたんですか?」と聞かれた。
見れば分かるようだ。髪が伸びたら同じようなもんだと思っていた。

この店の理髪料金は安くはない。美容室のように高くもないのだが、
昨今の手軽な街角理容室のように、
短時間で安く仕上げてくれるところに比べると、数倍の料金だ。
だが、腕がいい、とおれは思っている。
友人の中西氏によれば「後頭部が刈り上げすぎ」らしいが、
人間は自分の後頭部のことについては、
自分の内面と同じくらいに、知らないものだ。

昨日、店の前を通りすぎたら、内装業者がリフォームしていた。
閉店の原因は、「安くて早くて手軽な店」の浸透だというが、
常連客としては実に困ったことだ。
そういう店に行きたくないからこの店に来ていたのに。
スタッフは、同じ名前のチェーン店に行くことを進めてくれた。
だが、おれは果たして行くだろうか。

いずれにしても散髪をしなければ生きていけないわけではないが、
伸ばし放題でいるわけにもいかないから、行かなくてはいけない。
「何のために散髪をするのですか?」と尋ねられたら何と答えるだろう?
すっきりしたいから。身繕いをするのが社会人だから。
長髪だとシャンプーをたくさん使ってしまいもったいないから。
いろいろ考えてみるが、納得度の深い解答がないような気がする。

こんなことを書くと、
「髪の毛のことなんかで長々書くな」という声がしそうだ。
人にはさまざまな髪型があるし、生態的にその量も質も違う。
散髪屋を必要としない人もいるかもしれない。
あるいは自宅で家人にカットしてもらえるという恩恵人もいるだろう。
(当人はそれを恩恵だと感じてないケースが結構多い)

さてどうするか。おれは何も考えていない。
なぜなら、まだ髪が伸びていないからだ。
伸びてきて、あーだこーだと考えるのは、どういうときでも同じだ。


a0193496_11183336.jpg

[PR]

by kazeyashiki | 2013-11-21 11:18 | 暮らし | Comments(0)

<< 月末から師走へ 秋うた   >>