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この国の今

菅首相の浜岡原発の運転停止要請を受けて、中部電力はさまざまな背景を鑑みた上で受け入れることを決定しそうだが、地震国として今後、原子力発電所の稼働はどうなのか、という思いを抱いている人は多い。ぼくもそうだ。

静岡県にある浜岡原発は、東海・東南海・南海という三領域の地震発生の可能性が高い地域に接している。8割の可能性で地震発生が予測されている状況下、停止要請は賢明だ、いや、当然だろうという言葉を聞く。

政府内で会議を開いて決めていたら、もっと時間が掛かっただろうと言われている。そうした意味で今回の菅首相の素早い要請は、有無を言わさないという点でよかったのかも知れない。日本人はある意味、こうしたトップダウン式の判定を好むところがあるのは、時代劇などのドラマ構造を見ていて思う(って、喩えがあまりに通俗的ですね)。

しかし、科学的知識のなさ、リテラシー不足を承知で思うのだが、この日録に以前書いた、国内の原子力発電所に関して、浜岡同様に運転停止をしなくてもいいのか?という思いがある。とくに老朽化が進む原子炉は本当に大丈夫なのだろうか。

敦賀第一原子力発電所は1970年から稼働しているし、美浜発電所の電気は1970年に大阪千里で開催された万国博覧会へ送電されたものだ。もう40年以上経ている。もちろん技術的には年々更新され、新技術が加えられているのだとは思うが、すべてが新しいということではないだろう。このあたりは知識不足でよく分からない感覚的な印象なのだが、いずれにしても原発の老朽化ということの側面をもっと知りたい。

電気は生活に不可欠なものだ。電気がなければ成り立たないことが大半の暮らしを我々は送っている。その上で、電気が造られる根っこの部分を知らなければいけないのだと思う。原子力、火力、水力、風力、太陽光、地熱、潮力など、名称は知っていても実態はあまりにも勉強不足だと感じている。

電気(electricity)の語源を辿ると、古代ギリシャ時代の「琥珀を摩擦する時の静電気の力」ということになるそうだ。静電気の力で物質を引く……というのは、小学生のときにプラスチックの下敷きを摩擦して、前の席の生徒の髪の毛を逆立てて遊んだ記憶に結びつく。こんな素朴で牧歌的なこと書いても詮無いことかも知れないが、ぼく自身を顧みれば、科学的な情報、知識といったものを学習せず、他人任せにしてきた。「おまかせ定食」は、いいときもあるが、困ったメニューがいくつも盛りつけられているケースだってある。

今から少しずつ学ぶことを課した上で、明後日から宮城へ行き、震災後の農家の一年〜稲作の記録を取って来ようと思っている。そして続いて福島へも出掛け、原発事故によって農作業ができなくなった農家の人達に話を聞くことで、この国の今の姿が見えてくると思っている。
by kazeyashiki | 2011-05-09 11:10 | 世界 | Comments(0)

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