2013年 07月 30日
怒濤の町
などと口ずさみながら、
大阪市内、天王寺の通天閣より南の界隈を歩いていた昨日、
西成と呼ばれる地域なんだが、物騒な町という印象が強い。
昼間から酒を飲んで道で寝転がっているおっちゃんは、
たぶん仕事にあぶれたのか、
気力がなくてずぶずぶと酔いどれ人生を送っているのか。
危ない町・釜ヶ崎。
かつては町全体が怒っていた。
しかし今は危険な匂いより凋落した町の印象が強い。
とある食堂の前で二人の男が口げんかしていた。
どっちもわしよりはかなり年配で、方言がある。
つかみ合いまではいかないが、激しく言い合っている。
怒濤ならぬ、罵倒やな…などと思いながら通りすぎようとすると、
食堂から女が出てきて、
店の前でケンカするのはやめてくれと腹に重心を置いた声で言う。
おっさんらは一瞬ひるむ。
だが罵る。
ふたたび女が声を上げる。
なかなかの迫力だった。
まるで芝居のようだった。
阿倍野の墓場近くを歩いていたら、
遠くに、あべのハルカスが見えた。
眺めながら汗を拭いていると、おっさんに声かけられた。
「ハルカスは飛田から見るのがええんや」
ひとり言のように呟いた。