鳩笛の季節   

夕焼け空を眺めながら歩き帰って来ると、
風が、あきらかに季節の移り変わりを伝えてくる。
冬の前のあのどこか淋しいような、人恋しいような、
いつか感じたなつかしさのようなものが掠めていく。

ふと、長谷川きよしの歌「鳩笛」を思い出す。

♪~鳩笛は日の昏の音色 忍び寄る冬の足音

  鳩笛に亡き友を想う 岩木山雨に煙る日

  鳩笛を唇にあてる 思い出は雲と流れて

  鳩笛に涙する人よ 君もまた津軽生まれか~♪

作詞は清水みのる(明治36年~昭和54年)で、
田端義夫の「かえり船」や「別れ船」の作詞者でもある。
浜松生まれだから津軽にはいつか旅をされたのであろう。
そして、津軽の地で思うことがあったのかもしれない。
鳩笛の音色を耳にしたのかも。

過去は美しいものではない。
一つひとつの出来事には複雑な気持ちになることもある。
赤面し、うろたえ、穴があったら入りたいことが多い。
だが、漠然と”過去”と言ってしまえば、
それはまさに漠とした、細長い連なりのようなものであり、
もう二度と立ち帰ることのできない時の向こうの世界だ。
そして、そこには会うことの叶わぬ者たちの面影がある。
”亡き友を想う”のは、共に生きて来たあかしだ。

だからこそ、思い出す以外に手はないのだし、
書き留めるしかない。歌や手記に。



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by kazeyashiki | 2017-10-26 18:17 | 素描 | Comments(0)

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